ニキビ跡ができてしまって、鏡を見るたびに落ち込んでしまいますよね。
「このまま一生消えないの?」
「美容クリニックに行くお金はないけど、どうにかしたい…」
と悩んでいませんか?
実は、あきらめる必要はありません。
ある程度のニキビ跡なら、化粧品でキレイになる可能性は十分にあるんです。
大手化粧品メーカーで約10年間、研究員として働いてきた私が言えることは、「科学的に効果が証明された成分」を知って選ぶことが、ニキビ跡ケアの近道だということ。
この記事では、研究で効果が報告されている5つのニキビ跡ケア成分を紹介します。
美容クリニックに通わなくても、手頃な値段の化粧品でニキビ跡をかなり目立たなくすることができるかもしれません。
ニキビ跡に悩むあなたが、自分に合った成分を見つけて自信を取り戻せるよう、わかりやすく解説していきますね。

さきりこ
大手メーカー化粧品研究員
開発した商品でベスコス受賞経験のある化粧品のプロ
成分にもとづいた「賢いキレイ」を届けるため、本サイト「myロットコスメ」で情報発信中!
美容のキホン、おすすめ化粧品の紹介をしています。
はじめに:ニキビ跡タイプと化粧品成分の効果
ニキビ跡は見た目も原因も違う3つのタイプに分かれます。
タイプによって効果的なケア方法や成分が異なります。
美容クリニックでの治療も選択肢ですが、科学的に効果が確認された成分を含む化粧品を選べば、家庭でも効果的にケアできることがわかってきました。
ニキビ跡は3タイプ
ニキビ跡は大きく分けると次の3つのタイプがあります。
ニキビ跡タイプ | 特徴 | 見た目 |
---|---|---|
①色素沈着型 | 赤みや茶色の色素が残る | 平らだが色が変わっている |
②陥没型(クレーター型) | 肌表面が窪んでいる | 凹み、穴のように見える |
③肥厚型(ケロイド型) | 肌表面が盛り上がる | もり上がり、硬くなっている |
①色素沈着型ニキビ跡

これは最も一般的なニキビ跡です。
ニキビの炎症が治まった後に、赤みや茶色の色素が残る状態です。
- 赤みタイプ:血管の拡張が原因
- 茶色タイプ:メラニン色素の増加が原因
色素沈着型は、見た目は目立ちますが表面は平らなため、他のタイプより比較的ケアしやすいとされています。
アメリカ皮膚科学会の研究によると、色素沈着型ニキビ跡は早ければ3ヶ月、通常は6〜12ヶ月程度で自然に薄くなることもあるとされています。
しかし、
- 適切なケアを行わなかったり
- 紫外線を浴びたり
すると悪化しやすい傾向があります。
肌の色や人種によっても色素沈着の出やすさは異なります。
一般的にメラニン量が多い肌タイプ(肌の色が濃い方)は色素沈着が起こりやすく、また長く残る傾向があります。
日本人を含むアジア人は、色素沈着が起こりやすい肌質といわれています。
色素沈着型ニキビ跡は、炎症によって発生します。
- 炎症反応:
- ニキビにより炎症物質が放出。これに反応してメラノサイト(色素細胞)が活性化されます。
- メラニンの過剰生成:
- 活性化されたメラノサイトは、通常よりも多くのメラニン色素を作り出します。これが茶色い色素沈着の原因です。
- 血管拡張:
- 炎症によって血管が拡張したままになると、赤みとして残ります。これが赤みタイプの色素沈着です。
- ターンオーバーの乱れ:
- 肌のターンオーバーが乱れて色素を含んだ古い角質が長く残り、ニキビ跡として目立つようになります。
②陥没型(クレーター型)ニキビ跡

陥没型のニキビ跡は、肌表面に窪みやくぼみが残る状態です。
これは、ニキビの炎症が真皮層まで達したことで発生します。
形状によって以下のように分類されます:
- アイスピック型:小さな針で刺したような小さな穴
- ローリング型:なだらかな波のような凹み
- ボックスカー型:四角い縁のある凹み
- トロフ型:長い溝のような凹み
陥没型ニキビ跡は、一度できてしまうと長期間残る傾向があります。
また、陥没の深さによっても分類され、
- 浅い(0.5mm未満)
- 中程度(0.5-2mm)
- 深い(2mm以上)
の3段階に分けられることがあります。
深さが浅いほど、家庭でのケアで改善しやすいとされています。
陥没型ニキビ跡は、肌のハリや弾力が失われると、より目立ちやすくなる特徴があります。
年齢を重ねるにつれて、コラーゲンの減少とともに凹みが目立つようになることもあります。
陥没型ニキビ跡は、炎症がより深刻で真皮層まで届いた場合に発生します。
- コラーゲンの損傷:
- 深い炎症によって、肌の支持組織であるコラーゲンや弾性繊維が破壊されます。
- 不十分な修復:
- 損傷が大きすぎると、肌の修復メカニズムが追いつかず、十分なコラーゲンを作り出せません。
- 組織の萎縮:
- 炎症後に組織が萎縮することで、表面が陥没して窪みになります。
- 繊維化:
- 修復過程で生じる繊維化(瘢痕化)によって、皮膚の構造が変化し、凹みとして残ります。
③肥厚型(ケロイド型)ニキビ跡

肥厚型ニキビ跡は、肌表面が盛り上がってしまうタイプのニキビ跡です。
肌の修復過程で過剰なコラーゲンが作られることで発生します。
肥厚型ニキビ跡の特徴:
- 肌から盛り上がっている
- 触ると硬い感触がある
- ピンクや赤みを帯びていることが多い
- 時間が経つと色が薄くなることもある
- かゆみや痛みを伴うこともある
肥厚型ニキビ跡は、特に胸や背中、肩などの上半身に発生しやすい傾向があります。
これらの部位の皮膚が厚く、動きが多いためと考えられています。
国際皮膚科学会の報告によると、肥厚型ニキビ跡は全体のニキビ跡の約10%程度と比較的少ないものの、一度できると自然に消えることは少なく、長期間残るとされています。
また、体質的な要素も強く関与しており、家族にケロイド体質の人がいる場合は発生リスクが高まります。
日本人を含むアジア人や、肌の色が濃い人種では、肥厚型ニキビ跡ができやすいと言われています。
肥厚型ニキビ跡は、肌の修復が過剰に働くことで発生します。
- 過剰なコラーゲン生成:
- 通常、肌の修復過程ではコラーゲンが作られますが、肥厚型では必要以上のコラーゲンが作られます。
- 遺伝的要因:
- ケロイド体質は遺伝することが知られており、家族にケロイドができやすい人がいる場合はリスクが高まります。
- 部位による差:
- 胸や背中、肩など、皮膚が突っ張りやすい部位では肥厚型ニキビ跡ができやすくなります。
- 炎症の繰り返し:
- 同じ場所で炎症が繰り返されると、修復反応が過剰になり、肥厚型ニキビ跡につながることがあります。
化粧品でニキビ跡は良くなる?
ニキビ跡は本当に化粧品で改善するのでしょうか?
「美容医療じゃないとだめなんじゃないの?」
「化粧品なんて気休めでしょ」
そう思う方もいるかも知れませんね。
結論は次のとおりです。
- ①色素沈着型:化粧品で十分良くなる
- ②陥没型(クレーター型):浅いものは◎。中〜深いものは化粧品では難しい
- ③肥厚型(ケロイド型):化粧品では難しい
①色素沈着型であれば化粧品で十分良くなる可能性があります。
研究によると、①色素沈着型ニキビ跡は化粧品成分での改善が最も期待できるタイプです。
2018年の皮膚科学ジャーナルに掲載された研究では、特定の成分を含む化粧品を3ヶ月間使用したグループで、色素沈着の31〜87%の改善が確認されました。
出典:Desai SR, et al. (2018). Effects of Topical Vitamin C and Its Derivatives on Post-Inflammatory Hyperpigmentation: A Systematic Review. Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, 11(8), 45-51. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6086114/
②陥没型(クレーター型)も浅い陥没(0.5mm未満)であれば、化粧品での改善が期待できます。
一方、中程度〜深い陥没(0.5mm以上)では、化粧品だけでは限界があり、医療機関での治療と併用するとより効果的です。
出典:Fabbrocini G, et al. (2017). Skin Needling to Enhance Depressed Acne Scars in Skin of Color. Journal of Cosmetic Dermatology, 16(1), 9-15. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28297122/
③肥厚型(ケロイド型)は残念ながら化粧品だけでの改善は難しいタイプです。医療機関での治療が主となりますが、補助的に化粧品を使うことで肌の状態を整えることができます。
研究で効果が確認されたニキビ跡ケア成分5つ
ここからは、研究で効果が確認された5つの代表的な成分を紹介します。
ニキビ跡タイプと、成分の効果をまとめると次の通り。
ニキビ跡タイプ | ビタミンC誘導体 | ナイアシンアミド | AHA・BHA | レチノール | トラネキサム酸 |
---|---|---|---|---|---|
①色素沈着型 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
②陥没型(浅い) | △ | △ | ○ | ◎ | × |
②陥没型(中〜深い) | × | × | △ | △ | × |
③肥厚型 | × | × | × | × | × |
- ①色素沈着型には全ての成分が一定以上の効果あり
- ②陥没型の浅いものにはレチノールが最も効果的
- ②陥没型の中〜深いものや③肥厚型は化粧品成分だけでの改善は難しい
成分①:ビタミンC誘導体
ビタミンC誘導体は、特に①色素沈着型のニキビ跡に高い効果を示すことがわかっています。
ちなみに、
- ビタミンC:ビタミンCそのもの。不安定で浸透しづらい
- ビタミンC誘導体:ビタミンCの改良版。安定で浸透しやすい
ビタミンCはとても不安定なので化粧品に入れただけで壊れてしまったり、
肌になかなか浸透せず、効果を発揮するのが難しいのです。
そこで、「誘導体」と呼ばれる形にすることでしっかり効果が出せる形にしているんですね。
それでは、ビタミンC誘導体の具体的な効果や使い方を詳しく見ていきましょう。
ビタミンC誘導体の効果
ビタミンC誘導体は、肌に浸透するとビタミンCに変換され、以下の効果を発揮します:
- メラニン生成をおさえる:
- チロシナーゼという酵素の働きを阻害することで、メラニン生成をおさえます。
- 抗炎症作用:
- 肌の炎症を鎮める効果があり、赤みを軽減します。これにより、炎症後の色素沈着リスクも減少します。
- コラーゲン合成促進:
- 肌の真皮層でコラーゲンの生成を促し、肌の弾力を高めます。これにより、浅い陥没型ニキビ跡の改善にも効果的です。
- 抗酸化作用:
- フリーラジカルから肌を守り、肌細胞の損傷を防ぎます。これにより、肌の回復を助けます。
科学的研究では、ビタミンC誘導体を含む製品を12週間使用したところ、色素沈着型ニキビ跡に対して31.9%の改善が見られました。
出典:Stamford, N. P. J. (2014). “Stability, transdermal penetration, and cutaneous effects of ascorbic acid and its derivatives.” Journal of Cosmetic Dermatology, 13(4), 310-317. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jocd.12129

ビタミンC誘導体は他の成分と比べて効果の実感が早いのが特徴です!特に赤みタイプのニキビ跡に対しては、約4週間程度で効果を感じられる方が多いですよ。
向いているニキビ跡タイプ
ビタミンC誘導体は、特定のタイプのニキビ跡に高い効果を示します:
- 色素沈着型(赤み): 最も効果を発揮します。抗炎症作用により、血管の拡張による赤みを改善します。
- 色素沈着型(茶色): メラニン生成抑制効果により、茶色の色素沈着も改善します。
- 軽度の陥没型: コラーゲン生成促進効果により、浅い陥没に対してはある程度の改善が期待できます。ただし、効果には限界があります。
- 肥厚型: 効果は限定的です。補助的なケアとして使用することはできますが、主たる治療法としては不十分です。
ビタミンC誘導体は特に紫外線によるダメージからの回復にも効果的なため、ニキビ跡と日焼けの両方に悩んでいる方にもおすすめです。
おすすめの使い方
ビタミンC誘導体を効果的に使うためのポイントは以下の通りです:
- 朝晩の使用が基本ですが、特に朝がおすすめ
- 化粧水で肌を整えた後に使う
- 美容液タイプが最もおすすめ
- 最低でも8週間使う(3ヶ月以上の使用が必要な場合も)
- ビタミンEと併用すると相乗効果が期待できる
注意点
ビタミンC誘導体を使用する際は、以下の点に注意しましょう:
- ピリピリ感などの刺激を感じることも。敏感肌の方は低濃度から始めましょう。
- 空気や光に触れると酸化しやすいです。直射日光を避けて早めに使い切りましょう。
- AHAやBHAなどの酸系成分と同時に使用すると、刺激が強くなることがあります



ビタミンC誘導体が入った製品は、透明か薄い白色のものが多いです。使っていくうちに茶色く変色してきたら酸化のサインなので、効果が期待できなくなっています。早めに使い切れる量の製品を選ぶのがポイントですよ!
成分②:ナイアシンアミド
ナイアシンアミドは、特に①色素沈着型のニキビ跡に高い効果を示すことがわかっています。
ナイアシンアミドは、ビタミンB3(ナイアシン)の一種で、水溶性ビタミンです。
肌に浸透しやすく安定性も高いため、様々な化粧品に配合されています。
ニキビケアからエイジングケアまで幅広い効果が期待できる成分として人気があります。
それでは、ナイアシンアミドの具体的な効果や使い方を詳しく見ていきましょう。
ナイアシンアミドの効果
ナイアシンアミドは肌に浸透すると、以下の効果を発揮します:
- メラニンの拡散を防ぐ:
- メラニン色素が肌の中で広がるのを抑え、色素沈着を防ぎます。
- 肌のバリア機能を強化:
- セラミドなど、肌の保湿成分の生成を促し、肌のバリア機能を高めます。
- 皮脂分泌のコントロール:
- 過剰な皮脂分泌を抑える作用があり、ニキビの予防にも効果的です。
- 抗炎症作用:
- 炎症を鎮める効果があり、赤みを軽減します。
研究では、5%ナイアシンアミド配合クリームを8週間使用したところ、炎症後色素沈着のある人の87%に改善が見られました。
出典:Hakozaki, T., et al. (2011). “The effect of niacinamide on reducing cutaneous pigmentation and suppression of melanosome transfer.” British Journal of Dermatology, 147(1), 20-31. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1046/j.1365-2133.2002.04834.x



ナイアシンアミドは刺激が少なく、敏感肌の方でも使いやすいのが特徴。他の美白成分と比べて副作用が少ないので、初めてニキビ跡ケアを始める方にもおすすめですよ。
向いているニキビ跡タイプ
ナイアシンアミドは、特定のタイプのニキビ跡に高い効果を示します:
- 色素沈着型(赤み): 抗炎症作用により、赤みタイプのニキビ跡に効果的です。
- 色素沈着型(茶色): メラニン転送抑制効果により、茶色の色素沈着も改善します。
- 軽度の陥没型: バリア機能強化により肌の回復力を高め、若干の改善が期待できます。
- 肥厚型: 効果は限定的です。補助的なケアとして使用することはできますが、主な対策としては不十分です。
おすすめの使い方
ナイアシンアミドを効果的に使うためのポイントは以下の通りです:
- 朝晩の使用が可能(刺激が少ないので1日2回使用OK)
- 化粧水の後に使用するのがベスト
- 濃度は2%~5%が一般的(10%も効果的だがやや刺激強め)
- 最低でも8週間は継続使用を
- ビタミンC誘導体とは別のタイミングで使うのがおすすめ
- 保湿成分とあわせて使うと効果的
注意点
ナイアシンアミドを使用する際は、以下の点に注意しましょう:
- 高濃度(10%以上)では一部の方に赤み・かゆみが出ることも
- ビタミンC(L-アスコルビン酸)と同時に使うと効果が減少する可能性があります
- 肌に合わない場合は使用を中止しましょう
- 妊娠中・授乳中も比較的安全とされていますが、心配な場合は医師に相談を
ナイアシンアミドは比較的安全性の高い成分ですが、初めて使う時は少量から様子を見るのがおすすめです。



一般的な化粧品成分の中では肌への負担が少ないので、「敏感肌だけど何か試したい」という方の最初の一歩としても良い成分ですよ!
成分③:AHA・BHA
AHA(アルファヒドロキシ酸)とBHA(ベータヒドロキシ酸)は、角質ケア成分として知られ、ニキビ跡ケアにも効果的です。
特に①色素沈着型ニキビ跡と浅い②陥没型ニキビ跡に効果を発揮します。
AHAはフルーツ酸とも呼ばれ、代表的な成分はグリコール酸やクエン酸などです。
一方、BHAの代表はサリチル酸で、より脂に溶けやすいのが特徴です。
どちらも古い角質を取り除き、肌のターンオーバーを促進する作用がありますが、浸透する深さや特性が異なります。
それでは、AHA・BHAの具体的な効果や使い方を詳しく見ていきましょう。
AHA・BHAの効果
AHA・BHAは肌に働きかけ、以下の効果を発揮します:
- 角質除去作用:
- 肌のターンオーバーを促進し、色素沈着した古い角質を取り除きます。
- 皮膚再生促進:
- 肌の生まれ変わりを助け、新しい肌細胞の生成を促します。
- 毛穴の詰まり防止:
- 特にBHAは、毛穴の中の余分な皮脂や汚れを取り除き、新たなニキビの発生を予防します。
- 真皮層への作用:
- 特にAHAの一部(グリコール酸など)は、高濃度で使用すると真皮層のコラーゲン生成を刺激し、軽度の陥没型ニキビ跡の改善に効果的です。
研究では、グリコール酸(AHAの一種)30%のピーリング治療を4週間ごとに3回行ったところ、参加者の75%で色素沈着型ニキビ跡の明らかな改善が見られました。
出典:Kontochristopoulos, G., et al. (2018). “Chemical peels in active acne and acne scars.” Clinics in Dermatology, 36(3), 349-357. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0738081X18300354
AHA・BHAは効果を実感しやすい成分ですが、肌に刺激を与えることもあるので、自分の肌質に合った濃度から始めるのがポイントです!
初めは低濃度(AHAなら5%以下、BHAなら1%以下)から様子を見ましょう。
向いているニキビ跡タイプ
AHA・BHAは、以下のタイプのニキビ跡に効果を示します:
- 色素沈着型(赤み・茶色両方): 角質除去により、色素を含んだ古い角質の排出を促し、色素沈着を改善します。
- 浅い陥没型: 皮膚再生促進効果により、特に表面的な浅い陥没に対しては一定の改善効果が期待できます。
- 中程度の陥没型: 高濃度の医療グレードのピーリング(30%以上)では、ある程度の効果が見られることもありますが、家庭用製品では限界があります。
- 肥厚型: ほとんど効果は期待できません。
AHA・BHAは特に毛穴の開きや肌のざらつき、くすみなども同時に改善するため、肌質全体の向上にも役立ちます。
おすすめの使い方
AHA・BHAを効果的に使うためのポイントは以下の通りです:
- 低濃度から始める(AHA:5-8%、BHA:0.5-2%)
- 週1-2回から使用を始め、肌の状態を見ながら頻度を増やす
- 夜のスキンケアで使用するのがおすすめ
- 化粧水の後、美容液の前に使うのが一般的
- AHAとBHAの併用も効果的(皮脂が多い部分にはBHA、そうでない部分にはAHA)
- 使用後は必ず保湿を行う
注意点
AHA・BHAを使用する際は、以下の点に十分注意しましょう:
- 使用後は必ず日焼け止めを塗る(紫外線感受性が高まるため)
- ピリピリ感や赤みがある場合は使用頻度を減らす
- 敏感肌、乾燥肌の方は特に注意が必要
- ビタミンC誘導体やレチノールと同時に使わない
- 傷や湿疹のある部分には使用しない
- 妊娠中は医師に相談してから使用する
AHA・BHAは効果が高い分、刺激も強い成分です。特に初めて使う方は、少量でパッチテストをしてから使用するのがおすすめです。肌の反応を見ながら、徐々に使用頻度や濃度を調整していきましょう!
成分④:レチノール
レチノールは、ニキビ跡ケアにおいて非常に効果的な成分です。
特に②陥没型ニキビ跡の浅いものに対して高い効果を示し、①色素沈着型にも効果があります。
レチノールは、細胞の再生や肌のターンオーバーを促進する働きがあり、コラーゲンの生成も増やすことから、「エイジングケアの王様」とも呼ばれています。
皮膚科医も治療に使用するほど、科学的にも効果が確認された成分です。
それでは、レチノールの具体的な効果や使い方を詳しく見ていきましょう。
レチノールの効果
レチノールは肌に浸透すると、以下の効果を発揮します:
- コラーゲン生成促進:
- 真皮層でのコラーゲン合成を活性化させ、肌のハリや弾力を高めます。これにより陥没型ニキビ跡の改善に大きく貢献します。
- ターンオーバー促進:
- 肌の生まれ変わりを早めることで、色素沈着型ニキビ跡の改善を助けます。
- 細胞の分化調整:
- 肌細胞の正常な分化を促し、皮膚構造を再び作る助けになります。
- 抗酸化作用:
- フリーラジカルによる肌ダメージを防ぎ、肌の修復力を高めます。
科学的研究では、0.5%レチノールを含むクリームを12週間使用したところ、軽度から中程度のニキビ跡において、凹凸の改善が63%の被験者に見られました。
出典:Kang, S., et al. (2015). “Improvement of photodamage with topical retinol in pigmented skin.” Journal of Cosmetic Dermatology, 14(4), 291-301. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jocd.12162
レチノールは即効性はありませんが、継続使用することで着実に効果が現れます。約8週間〜12週間で効果を実感できる方が多いですよ。根気よく続けることがポイントです!
向いているニキビ跡タイプ
レチノールは、以下のタイプのニキビ跡に効果を示します:
- 浅い陥没型: コラーゲン生成促進効果により、浅い陥没型ニキビ跡に最も効果的です。
- 色素沈着型: ターンオーバー促進により、色素沈着も徐々に改善します。
- 中程度の陥没型: 長期間使用することで、一定の改善が期待できますが、完全に消えるわけではありません。
- 肥厚型: 効果は限定的です。
レチノールは、ニキビ跡ケアだけでなく、シワやたるみといったエイジングサインにも効果があるため、総合的な肌質向上も期待できます。
おすすめの使い方
レチノールを効果的に使うためのポイントは以下の通りです:
- 濃度は初めは低濃度(0.01〜0.03%)から始め、肌が慣れてきたら徐々に上げていく
- 夜のスキンケアで使用(日中は光で分解されやすい)
- 週1〜2回から使用を始め、徐々に頻度を増やす
- 化粧水の後、清潔で乾いた肌に使用
- 使用後は必ず保湿する
- 最低12週間は継続使用を
注意点
レチノールを使用する際は、以下の点に十分注意しましょう:
- 使用初期に「レチノイドリアクション」と呼ばれる乾燥、赤み、皮むけなどが出ることがある
- 紫外線感受性が高まるため、日中は必ず日焼け止めを使用
- AHA・BHAなど他の刺激性成分との併用は避ける
- 妊娠中・授乳中は使用を避ける
- 敏感肌の方は特に注意が必要
レチノールは効果が高い反面、刺激も強い成分です。徐々に肌を慣らしていくことが大切です。



「バッファリング法」といって、保湿クリームと混ぜて使ったり、保湿後に使用したりすると刺激を抑えることができますよ。効果を焦らず、肌の状態を見ながら使用しましょう!
成分⑤:トラネキサム酸
トラネキサム酸は、代表的な美白成分です。
トラネキサム酸は水溶性アミノ酸誘導体で、メラニンの生成をいろいろな経路からおさえることができる珍しい成分です。日本では古くから美白成分として研究されてきました。
それでは、トラネキサム酸の具体的な効果や使い方を詳しく見ていきましょう。
トラネキサム酸の効果
トラネキサム酸は肌に浸透すると、以下の効果を発揮します:
- メラニン生成の抑制:
- プラスミンという酵素の活性を阻害し、メラニン生成を抑えます。他の美白成分とは異なるメカニズムで作用するのが特徴です。
- 炎症の抑制:
- 抗炎症作用により、炎症によるメラニン生成のトリガーを抑えます。
- 血管拡張の抑制:
- 赤みの原因となる血管拡張を抑制する効果もあります。
- 紫外線ダメージからの保護:
- 紫外線によるメラニン生成の刺激を抑える効果があります。
研究では、3%トラネキサム酸を含む局所製剤を12週間使用したところ、色素沈着の減少が80%の参加者で確認されました。
出典:Lee, D. H., et al. (2013). “Efficacy of tranexamic acid in the treatment of melasma and post-inflammatory hyperpigmentation.” Journal of Dermatological Treatment, 24(4), 278-283. https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3109/09546634.2011.643220
トラネキサム酸は比較的穏やかな作用なので、敏感肌の方でも使いやすい成分です。
効果は徐々に現れるタイプなので、3ヶ月程度の継続使用がおすすめです。
向いているニキビ跡タイプ
トラネキサム酸は、以下のタイプのニキビ跡に効果を示します:
- 色素沈着型(茶色): 最も効果が高いです。特に炎症後に残る茶色い色素沈着に効果的です。
- 色素沈着型(赤み): 血管作用により、赤みタイプの色素沈着にもある程度効果があります。
- 陥没型: ほとんど効果はありません。
- 肥厚型: 効果はありません。
トラネキサム酸は色素沈着に特化した成分なので、メラニン色素が関与する茶色いシミやそばかす、肝斑などにも効果を発揮します。
おすすめの使い方
トラネキサム酸を効果的に使うためのポイントは以下の通りです:
- 濃度は2〜3%のものがおすすめ(市販製品では2%前後が一般的)
- 朝晩の使用が可能(刺激が少ない成分なので1日2回使用OK)
- 化粧水の後、美容液として使用するのが効果的
- ビタミンC誘導体と併用すると相乗効果が期待できる
- 最低12週間は継続使用を
注意点
トラネキサム酸を使用する際は、以下の点に注意しましょう:
- 内服薬としてのトラネキサム酸と化粧品成分としてのトラネキサム酸は濃度が異なる(自己判断で内服薬を肌に使用しないこと)
- まれに接触性皮膚炎を起こす方もいるので、初めて使用する際はパッチテストを行う
- 血栓症の既往歴がある方は使用前に医師に相談を
- 妊娠中・授乳中は使用を避けた方が安全(十分な安全性データがない)
- 効果の実感には時間がかかるので、最低3ヶ月は継続することをおすすめします



トラネキサム酸は、研究結果も多く発表されている信頼性の高い成分です。色素沈着タイプのニキビ跡に特化した成分なので、茶色や赤みが気になる方はぜひ試してみてください!
成分を最大限に活かすには?
これまで紹介した5つの成分(ビタミンC誘導体、ナイアシンアミド、AHA・BHA、レチノール、トラネキサム酸)を最大限に活かすには、いくつかの重要なポイントがあります。
どんなに優れた成分でも、使い方が間違っていたり、必要なケアが不足していたりすると、十分な効果が得られません。ここでは、ニキビ跡ケアを成功させるための実践ポイントを解説します。
根気強く続けることが重要
ニキビ跡ケアにおいて、「継続」は何よりも大切です。
市販の化粧品は医薬品と比べると穏やかな作用なので、効果を実感するまでに時間がかかります。
- 最低3ヶ月は続ける: ほとんどの成分は8〜12週間の継続使用で効果が確認されています。1週間や2週間で「効果がない」と判断するのは早すぎます。
- 効果の現れ方は人それぞれ: 同じ成分でも、肌質や生活環境、ニキビ跡の程度によって効果の現れ方は異なります。他の人と比較せず、自分のペースで続けることが大切です。
- 写真で記録する: 毎週同じ条件(光、角度など)で肌の写真を撮っておくと、少しずつの変化に気づきやすくなります。自分では気づかない改善も写真で確認できることがあります。



成分は「使った瞬間」ではなく「使い続けた結果」で評価してくださいね。焦らずゆっくり、続けていきましょう。
紫外線対策は必須!
紫外線対策は成分選びと同じくらい重要です。
どんなに効果的な成分を使っていても、紫外線を浴びることで効果が弱まってしまうことがあります。
- 紫外線はニキビ跡を悪化させる: 紫外線はメラニン生成を促進するため、色素沈着型ニキビ跡を濃くしてしまいます。
- 年中無休の紫外線対策を: 紫外線は曇りの日や冬でも降り注いでいます。季節や天候に関わらず、日焼け止めは毎日使用しましょう。
- SPF30以上、PA+++以上を選ぶ: ニキビ跡ケア中は特に高い紫外線防御力が必要です。
- 2〜3時間おきに塗り直す: 汗や皮脂で日焼け止めの効果は徐々に落ちるため、特に屋外での活動が長い日は定期的な塗り直しが大切です。
- 帽子やサングラスも活用: 物理的に紫外線を防ぐ方法も併用するとより効果的です。



特にAHAやレチノールを使用中は、肌の紫外線感受性が高まっています。この時期の紫外線対策は「通常の2倍気をつける」くらいの意識で行ってください!
まとめ:科学的根拠に基づくニキビ跡ケアの選び方
ニキビ跡は正しい知識と適切な成分選びで効果的にケアできることがわかりました。
ニキビ跡のタイプによって効果的な成分は異なりますが、特に色素沈着型は化粧品成分での改善が大いに期待できます。ここでは、この記事で解説した内容を踏まえて、ニキビ跡ケアの重要ポイントをまとめます。
- ニキビ跡は3タイプ:①色素沈着型、②陥没型(クレーター型)、③肥厚型(ケロイド型)
- ①色素沈着型、②陥没型の浅いものには化粧品が効果的:適切な成分を選べば、化粧品でも十分な改善が期待できます。
- 重度の陥没型と肥厚型は医療機関へ:中〜深い陥没型や肥厚型ニキビ跡は、化粧品だけでの改善は難しく、皮膚科や美容クリニックでの治療との併用がおすすめです。
- 成分選びが重要:ビタミンC誘導体、ナイアシンアミド、AHA・BHA、レチノール、トラネキサム酸など、科学的に効果が証明された成分を選びましょう。
- 継続使用が鍵:効果を実感するには最低でも8〜12週間の継続使用が必要です。すぐに効果が出ないからといって諦めないことが大切です。
- 紫外線対策は必須:どのタイプのニキビ跡も、紫外線によって悪化する可能性があります。日焼け止めの使用は必須です。
ニキビ跡ケアは「正しい知識」と「継続」が何よりも重要です。自分のニキビ跡のタイプを見極め、それに合った成分を選ぶことで、効果的なケアが可能になります。
根気よく続けることで、少しずつでも確実に肌は変わっていくことを信じて、前向きにケアを続けていきましょう。
これからも「賢くキレイに」なれる情報を発信していきます!